舞台裏のダイス投げ

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OT以外に何もやることが無い日常に、嫌気がさしていた頃、ふいに全世界が日付を飛ばした。 OTのために体育館に行こうとすると、鍵が閉まっていたのだ。 職員が来て、「今日は日曜日だよ」と言う。明らかに昨日は木曜日だったのに。 また、後頭部に頭痛が走った。 ここにいると、日付まで操作される。すべては俺を驚かせようとして「劇団世界」を創り出した黒幕の仕業だ。黒幕、それはアメリカ大統領か、総理大臣か、そのあたりだろう。彼らはストーカーをする俺を危険人物とでも見なしたのか。こんなところに押し込み、飼い殺そうとしてくる。 それを悟った瞬間、俺は脱走を決めた。 敷地に張り巡らされている金網を上り、ストンと飛び降りて、走って家に帰った。 すると、親父とお袋がもう外で待っていた。 すぐに看護師が迎えに来た。坂本さんという若い女性だった。 俺は即座に彼女に恋をして、院内ストーカーになってしまって、そのことがもとで今度は保護室に入れられた。 人間扱いされない毎日。檻のような鉄格子の中に入れられて、トイレをしても手も洗わせてもらえない。 そのショックで、食べ物が吸収できない身体になってしまった。 普通に食事は摂っていたが、どんどん痩せていった。  保護室を出される頃には、四十キロ台になっていた。
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