第1章

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そして月日は流れる。 2人の、"お互いを利用し合う関係"は当たり前になっていった。 ――とあるショッピングモールでは。 「栞!! これ試着してきなよ!!」 「えー これを? 柄が変じゃない?」 「大丈夫だって!! 今年はこの"ガスマスク柄"が絶対に流行るから!!」 「いくらなんでもそれは信じられないよ」 「もー 栞ってば、流行には疎いんだからわたしに任せとけばいいのよ」 「でも……」 「分かった分かった じゃあ、わたしも色違いで同じの買うから ほら、お揃いだよ」 「明がそこまで言うなら仕方ないなぁ」 「とか言いながら 嬉しそうにしちゃって!」 「そ、そんなんじゃないし!」 「あはは!!」 服選びにキャキャウフフしたり。 ――とある図書館では。 「ねー栞 ここが分かんない」 「どこ?」 「ここの計算なんだけど なんでマイナス×マイナスがプラスになるの?」 「なるものはなるんだよ 難しく考えないで、公式に当てはめな」 「ちゃんと納得できる説明してよ」 「あんたは馬鹿なんだから、私の言う通りにしていればいいのよ」 「説明になってない」 「全く、しょうがないわね 良い? 嫌な奴はマイナス 殴る行為もマイナス でも、嫌な奴を殴ったら気分が晴れるでしょ? つまりプラスになるのよ 分かった?」 「なるほど!!」 「今ので分かったんだ……」 教科書を広げて、勉強に勤しんだり。 この関係は、当初2人が思い描いていた関係そのものであった。
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