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そして月日は流れる。
2人の、"お互いを利用し合う関係"は当たり前になっていった。
――とあるショッピングモールでは。
「栞!!
これ試着してきなよ!!」
「えー
これを?
柄が変じゃない?」
「大丈夫だって!!
今年はこの"ガスマスク柄"が絶対に流行るから!!」
「いくらなんでもそれは信じられないよ」
「もー
栞ってば、流行には疎いんだからわたしに任せとけばいいのよ」
「でも……」
「分かった分かった
じゃあ、わたしも色違いで同じの買うから
ほら、お揃いだよ」
「明がそこまで言うなら仕方ないなぁ」
「とか言いながら
嬉しそうにしちゃって!」
「そ、そんなんじゃないし!」
「あはは!!」
服選びにキャキャウフフしたり。
――とある図書館では。
「ねー栞
ここが分かんない」
「どこ?」
「ここの計算なんだけど
なんでマイナス×マイナスがプラスになるの?」
「なるものはなるんだよ
難しく考えないで、公式に当てはめな」
「ちゃんと納得できる説明してよ」
「あんたは馬鹿なんだから、私の言う通りにしていればいいのよ」
「説明になってない」
「全く、しょうがないわね
良い?
嫌な奴はマイナス
殴る行為もマイナス
でも、嫌な奴を殴ったら気分が晴れるでしょ?
つまりプラスになるのよ
分かった?」
「なるほど!!」
「今ので分かったんだ……」
教科書を広げて、勉強に勤しんだり。
この関係は、当初2人が思い描いていた関係そのものであった。
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