#1 Progress.

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 *幾星霜、ヒトという生物は存続をしてきた。 他の生物に比べ、発達した知能と優れた技巧によって、進化を続ける事が出来たからだろう。  だが、時に天才は馬鹿にもなり得る。 自らの知能と技巧がこれ程の脅威だという事を身を以て知るのは、今から数百年前に起きた第四次産業革命の時だった。  人口は増えるばかりの一方で、少子化問題と高齢化社会問題も重なり、若い者達だけでこれからの社会を支えるのは厳しいと判断した結果、世界で人型ロボット技術の振興計画を掲げたのである。  早々にロボット技術の開発機関には国民の税金により、多額の資金が支給された。元々ゼロからのスタートでは無いロボット技術が進捗するのに時間はそうかからなかった。  そして、初出の人型ロボット【Helper-031】が介護用ロボットとして造られた。出来栄えは上々。  20代の若い女性や男性をモデルにし、どんなにくだらない話でも聞く耳を立てる機能の採用と各個人を管理する機能まで搭載。  加えて、他者による指示での学習能力も相まって何のアクシデントも無く、介護士の負担も減ったという実績と賞賛を受け、すぐに量産は進められた。  これを機に、様々な分野で活躍するロボットと開発者は増えていったのである。開発の衰退を知らない全盛期には技術の著しい進歩により様々な機能が生み出された。  だが、その中に最も造ってはならないモノがあったのだ。  それは-ー。 【解説】 *幾星霜(いくせいそう)→ 長い年月
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