第1章

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到着した空港で飛行機から降りる際、食事に誘った。半分は社交辞令、半分は本気だった。彼女は「お客様ですから」とやんわり断った。 当然だな。 がっかりしたが、悪い気はしなかった、彼女は断り方が上手く、相手を傷付けない応対をしたからだ。 それから、日本への往復で不思議と秋良と会う機会が重なった。 客室乗務員はごまんといる、示し合わせたわけでもないのに、空港で、ロビーで、そして機内で。会う度、会話が増えた。一回など、乗り継ぎ便の待ち時間の合間に食事すらできた。 これは、脈ありなのではないか? 縁結びの神の采配なのではないかと思ってしまった。 今度機内で会うことがあったら、彼女に告白しよう、プロポーズしよう、と思い詰めた。 宗像は自他ともに認める強運の持ち主だった。思い込みも多分にあるが、狙った獲物は外さなかった。縁があれば機会は必ず来ると相場が決まっていると信じていた。 そして、宗像が頼みとしていた好機はすぐに訪れ、あっさり玉砕したのだった――
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