555人が本棚に入れています
本棚に追加
/865ページ
時間の流れを無視した人が居る。
私にとって探偵さんはそんな人。
部屋の真向かいに探偵事務所の看板ができたのは、小学校高学年のときだ。窓の丁度真っ正面。
私にとって探偵は驚くべき職業だった。
おとぎ話とか漫画の世界だったんだ。
事務所が現れたころ、私は事務所の前を通りすぎていただけだった。
看板の下をわざとゆっくり歩いて探偵さんに会えないかとそわそわしていた。
会えたらいいな。なんて願望がいつの間にかエスカレートしていった。
雨の日風の日台風の日、私はいつしか探偵さんを探すようになった。
だけど事務所の明かりは付いていても探偵さんらしき人影はなかった。
私はそうして高校生になった。
小学五年生から高校生二年生。これだけのめり込んだのは探偵さんに会いたかったという気持ちが強かったからだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!