3章 水鏡学園

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1 部活 水無月なんて言いながら雨は容赦なく降り注ぐ。 月曜日の朝は憂鬱なままで水鏡学園に行くことになった。 本来なら休んでいいはず。景色が歪んでいるけれども部活があるんだから頑張らないと。 勉強より部活が合言葉の私は、赤い傘を挿して雨の中を歩いていた。 頭がぼんやりしている。 熱が引かなかった。 しんどいな、なんて考えていたら、前から走ってきた自転車に気が付かなかった。 自転車を運転していた男性が舌打ちをして走り去る。 数日前の軽やかな朝を返せ。 毒づいた私に雨は降りかかる。 鞄も制服も雨のたびに湿り、汚れる。 走り抜けた車のタイヤが水溜まりの水を跳ねあげて私を苛める。
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