思い出の場所で

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「これ」 「何これ・・・」 「開けてみて」 「うん」 そう言ってなおは小さな箱を開けてみた。 中から小さなダイヤモンドの指輪が出てきた。なおの表情が変わった。 いつも以上に笑顔になっている。 「司、これ婚約指輪なの」 「うん、小さいけど今の僕の給料じゃあ、これが誠一杯なんだ。小さいけど、愛情は沢山入っているよ。なお、僕と結婚してください」と真剣な表情でいう。 「司、私の方が年上だよ。先におばあちゃんになっちゃうよ。いいの」 「うん、いいよ、僕は老けて見えるから、きっとなおよりも僕の方が年上にみられるよ」 「私の方が先に死んじゃうよ。いいの」 「それはだめ、なおは僕よりも長生きしてほしい」 「でも、でも」 「なおは、僕の事嫌いになったの。僕と結婚するのが嫌なの」と司はなおを見つめて言う。 なおの瞳が潤み始めていた。 そしてなおは小さな声で 「司と結婚したい」と呟くと泣き始めた。 それを見た司は、おろおろとし始めた 「なお、どうしてなくの。僕何かひどいこと言ったかな」なおは顔を横に振り 「違うの。嬉しいの。司の奥さんになれることがとても嬉しいの」となおは言いながら泣くのを止めなかった。 僕はなおの背中を優しくなでながら 「なお、愛しているよ」と囁く。 「私も好きー」となおが泣きながら言う。 My Heart Will Go Onの曲が流れる中で、初夏の優しい風に吹かれながら愛を誓いあっていた。                  終わり
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