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僕は高校一年の年に、アジサイの咲き始めるころ、隣町にある植物園に出かけた。
その植物園は山の中に作られており、中腹には色んな花が植えられ、蓮の池も見られた。
展望台に行くには急な階段を上っていかなければならなかった。
階段も土を削って丸太で滑り止めをしているだけの簡単な階段だった。
その階段を登る為にはかなりの体力が必要で、息も荒くなってくるのだった。
額に汗を掻きながら、やっと頂上にたどり着くと小さな展望台がたてられていた。
入り口は一つで、あとは窓になっており風が通り抜けていく簡単な作りのものだった。
その日はいいお天気で風が心地よく吹き抜けていた。
白いベンチが部屋の片隅に置かれており、僕はそこに腰かけると窓の外を眺めた。
鉄のフェンスが見えたが、その向こうには、町並が見渡せた。
ちょうど植物園の隣にある高校ではブラスバンド部が練習をしているらしくてMy Heart Will Go On の曲が風と共に流れてきていた。
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