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僕は目を閉じその音色に聞き入っていた。
開放感のある場所で誰もいない。
あのタイタニックの感動を思い出していると、自然に目から涙が流れてきていた。
僕は、誰もいないと思っていたので、涙を拭くこともせずに、ただ黙ってメロディーに耳を傾けていた。
メロディーに夢中になっていた僕には誰かが近づいてきたのが分からなかった。
ふと、僕の目元を柔らかいものが触れる感触を感じた僕は驚いて目を開けると、とても美しい長い黒髪の女性が一人立っていた。
その女性がハンカチで僕の涙をそっと吹いてくれていたのだ。
僕は、自分の顔が赤面するのを感じた。
そして、美しい女性をただ黙って見つめていた。
女性の方は、困ったような、恥しい様な顔をしていた。
「君、大丈夫。泣いていたから。そのハンカチで涙を拭いたんだけど。余計なお世話だったかな」という。
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