思い出の場所で

5/7
前へ
/7ページ
次へ
僕はなおのことがとても、気に入ったので、メール交換を申し出た。 なおは少し迷っていたが、僕がまだ高校生でまだ子供だと思ったようで、申し入れを受けてくれた。 僕はこの時から、なおとメールをやり取りして、デートに誘い、一緒に遊ぶようになった。 僕はデートのつもりだが、なおはどう思っているのだろう。 僕はその疑問はまだ、口に出しては言えなかった。 それはまだ、僕が幼くなおから見たら、子供だと思われているのだと思ったからだ。 身長もまだ、なおと変わらない。 そんな状態のまま、僕はなおだけを見つめ続けていた。 いつしか、身長はなおを追い越し、なおはぼくの事を見上げる様になっていた。 初めて会った時は華奢だった僕の身体も、今は筋肉が付き逞しくなり、なおをお姫様抱っこする事が出来るようになった。 そうして僕となおの間には、あれから、10年の歳月が流れていた。 僕は今また、なおと初めて会った植物園の展望台のベンチに座っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加