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あの時僕はまだ高校生だったけど、いまは、もう立派な社会人、スーツを着こなし胸ポケットには小さな箱が入っていた。
僕はベンチに座ると街並みを眺めていた。
そして、今10年前と同じようにMy Heart Will Go On の曲が流れて来た。
僕は目を閉じるとそのメロディーに聞き入っていた。
そして、今度はなおと初めて会った時の事を思い出していた。
懐かしい思い出だった。
やがて、僕の身体を柔らかく温かいものが包む感触があった。
次の瞬間には優しいなおの声が耳元に響いて来た。
「お待たせ、司」となおは言うと僕に優しくキスをしてくれた。
「なお、待っていたよ」と僕はなおを抱きしめ返した。
「この曲覚えているかい。10年前にぼく達が初めて会った時に流れていた曲だよ。」
「ええ覚えているわ。あの時の事は、今も鮮明に記憶に残っているもの」
「なお僕は、君に渡したいものがあるんだ。受け取ってもらえるかな」と言うと、僕はなおから手を離して姿勢を正した。
そして、なおを見つめながら、胸ポケットから小さな箱を撮り出すとなおに渡した。
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