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「ふーん……まあいいや。
どうやって俺を殺すのか知らんが、どうせ人類は隕石で滅びるんだ、殺るのならサッサッと殺ってくれ」
「あ、はい」
男は返事を返し右の掌を俺に向ける、が、10秒程時間が経っても何も起こらない。
「おい!
殺すなら早くやれ」
男は首を傾げ、脂汗を流し唸る。
そのとき俺は背後に人の気配を感じて振り向き、いつの間にか現れた年配の男に拳銃を突きつけた。
「誰だ!?」
答えは後ろからきた。
「先生! 」
先生? 確かに後ろの若造に比べ黒いフード付きのマントを羽織り、死に神らしい格好をしている。
もっともこいつも大鎌を所持していないが。
年配の男は最初に若い男に雷を落とし、それから俺な話しかけて来た。
「馬鹿者!!
お前はまた、同じ失敗をやったな!?」
「ごめんなさ――い」
「私の生徒が迷惑をかけて申し訳ない」
男が俺に話してくれた事を要約すると、こういう事だった。
本当なら今頃津波に飲み込まれ、死んでいたらしい。
それが若い男が別荘に侵入したため、死ぬはずの俺は生き残った。
死に神とはいえ神は神、死に神の周りには結界が張られていて、その内側にいた俺も一緒に結界に守られたとの事。
死に神に出会い、一定の時間結界の中に閉じ込められると、閉じこめられた人間の命を死に神は回収する事ができなくなる。
そして死に神に命を取られる事を免れた人間は、5~60年寿命が延びるとの事だった。
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