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「――か、課長…」
そう呟いたわたしの顔は、病気なのかと聞きたくなるくらい真っ青な顔をしていたことだろう。
スタイリッシュな黒の眼鏡にストライプの模様が入った黒のスーツを着た彼は、わたしたちの直属の上司である。
さっきまでの出来事を見られていたんじゃないかと思ったら、わたしの心臓がドキドキと早鐘を打ち始めた。
背中に流れている冷や汗が気持ち悪い。
「京極、取引先の部長がお前に会いたいって」
課長が彼に声をかけた。
「えっ…ああ、はい、すぐ行きます」
彼は課長に会釈をすると、早足で会議室を後にした。
会議室に残ったのは、わたしと課長の２人だけになった。
課長はやれやれと言うように息を吐いた後、わたしに歩み寄ってきた。
トンと、課長は壁に手をつくと、覗き込むように顔を近づけてきた。
「お前さ、旦那がいる前で堂々と浮気しようとしてんじゃねーよ」
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