3530人が本棚に入れています
本棚に追加
「何だよ、幽霊を見た訳じゃあるまいに」
課長がやれやれと言うように息を吐きながら言った。
目の前で仁王立ちをしている彼の格好はパジャマではなく、シャツにズボンである。
首のところにかかっているネクタイを見ると、朝の支度をしていた真っただ中だったらしい。
そこへわたしが帰ってきたと言う訳か…。
「きょ、今日はお早いんですね…」
呟くように、わたしは言った。
「早い?
どう言う意味だよ」
課長が訳がわからないと言うように言い返してきた。
「いや、その…」
と言うか、何で課長が玄関にいるんですか?
この時間ならてっきり寝ているかと思いました。
課長は平日は7時に起きるのである。
「お前、昨日どこをほっつき歩いてたんだよ?
実家に電話しても帰っていないって言われるし」
そう聞いてきた課長に、
「えっ?」
わたしは聞き返した。
最初のコメントを投稿しよう!