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「取引先のところへ行く前にあいつが普段いるホテル街に行って、女と一緒にいるところを現行犯で襲撃しようって!」
京やんが宣言するように言った。
ああ、そう言うことか。
物騒な意味の襲撃じゃないことに、わたしはホッと胸をなで下ろした。
この襲撃なら心配はなさそうだ。
「若菜だって、このまんま泣き寝入りしたくねーだろ?
俺だってそうだ。
できることなら、あいつの髪の毛をむしりとるだけむしりとって」
フンフンと鼻息を荒くしながら怒っている京やんに、
「京やん、髪の毛だけは見逃してあげよう。
子供と髪の毛に罪はないから」
わたしは言った。
「若菜がそう言うなら髪の毛は見逃す。
俺もハゲはごめんだし…」
京やんは呟くように言った後、後頭部に手を当てた。
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