4・失った恋と優しい上司

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「取引先のところへ行く前にあいつが普段いるホテル街に行って、女と一緒にいるところを現行犯で襲撃しようって!」 京やんが宣言するように言った。 ああ、そう言うことか。 物騒な意味の襲撃じゃないことに、わたしはホッと胸をなで下ろした。 この襲撃なら心配はなさそうだ。 「若菜だって、このまんま泣き寝入りしたくねーだろ? 俺だってそうだ。 できることなら、あいつの髪の毛をむしりとるだけむしりとって」 フンフンと鼻息を荒くしながら怒っている京やんに、 「京やん、髪の毛だけは見逃してあげよう。 子供と髪の毛に罪はないから」 わたしは言った。 「若菜がそう言うなら髪の毛は見逃す。 俺もハゲはごめんだし…」 京やんは呟くように言った後、後頭部に手を当てた。
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