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課長が眼鏡越しににらんでいるのは、今年配属されたばかりの新人の女子社員だった。
「あーあ、かわいそうに。
あの子、課長ににらまれちゃってるよ」
京やんはやれやれと言うように息を吐いた。
気にいらなかったとは言え、そこまでにらまなくてもいいじゃないのよ。
口で呟く代わりに、心の中で呟いた。
「こんなデザインで企画が通る訳ないだろ。
もう１度練り直しだ」
「はい、申し訳ありませんでした」
女子社員は謝ると、課長のデスクの前を立ち去った。
「涙目だったな」
立ち去った女子社員の顔を見た京やんがわたしに話しかけてきたのと同時に、課長の咳払いが狭いオフィスに響いた。
課長の怒りがこちらへ向く前に、わたしと京やんは今やっている仕事に集中した。
「やれやれ、ムダ話もできやしない…」
京やんが嘆くように呟いた。
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