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トゥーシャがメッセージを読み終わり、重ねられたもう一枚の紙を広げると、そこにはエルフィーア姫と同い年くらいの愛らしい少女の肖像画が描かれていた。
エトゥーリオはトゥーシャの手からひったくるようにして少女の肖像画を奪うと、しげしげと眺める。やがて嬉しそうに目を細めてつぶやいた。
「かわいいじゃないか」
トゥーシャは顔をしかめながら、後ろからエトゥーリオにケリを入れる。
「この変態!」
「何が変態だ。かわいいものをかわいいと言って何が悪い。そこの少年もかわいいと思うだろう?」
そう言ってエトゥーリオが肖像画を突きつけると、トムはチラリと見ただけで顔を背けた。
「ぼく、人間の女の子には興味ないから」
少しの間黙ってトムを見下ろした後、エトゥーリオはトゥーシャに耳打ちする。
「この少年の方が、よっぽど変態じゃないか」
トゥーシャは一つため息をついて説明した。
「こいつはネコだから人間に興味なくてもあたりまえなんだよ」
「どうりで。動く物に異常なほど興味を示すし、落ち着きがないと思ったら」
そう言いながら、エトゥーリオは少女の肖像画のしわを伸ばし壁に貼り付ける。少し眺めて満足したように頷くと振り返った。
「よし、早速シルタ姫を救出しに行くとしよう」
「じゃあ、はい」
すかさずトゥーシャは、箱の中から銀の鍵を取り出しエトゥーリオに渡した。エトゥーリオは鍵を受け取り怪訝な表情でトゥーシャを見つめる。
トゥーシャはルーイドの手紙を折りたたんで箱に収めると、フタをしてトムに渡した。トムは先ほどと同じようにクルクル回しながら箱を元通りに戻していく。
「ぼくは箱を持って帰るのが使命なんだ。本来なら中身も持って帰るべきなんだろうけど、中身はおまえ宛だとわかったから、百歩譲って中身はおまえにやる。おまえだって箱はいらないんだろ? 用は済んだから帰る。行こうか、トム」
「うん」
トゥーシャがエトゥーリオに背を向けて促すと、トムは元通りに戻した箱をトゥーシャに渡し、彼の後について出口に向かった。
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