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トムの言葉にエルフィーア姫は目を輝かせた。
「トゥーシャ! 今回はほめてあげる。この子は戦力になるわ! 一緒にエトゥーリオの元からルーイドの箱を取り返してくるのよ!」
呆気にとられた二人に有無も言わせず、姫は衛兵を呼んで二人を城の外に放り出した。
窓から手を振るエルフィーア姫にトゥーシャがわめく。
「姫! どこへ行けばいいんですか?!」
「闇の宮殿に決まってるでしょ。さっさと行きなさい」
そう言い捨てると、姫は窓を閉めて城の奥へと姿を消した。
少しの間、閉じられた窓を呆然と眺めていたトゥーシャは諦めたようにため息をつくいてつぶやく。
「……姫はいいよな。城にいて命令してりゃいいんだもの。……エトゥーリオか……イヤな予感がするなぁ」
項垂れたまま、城に背を向けて歩き始めたトゥーシャの後を追いながらトムが尋ねた。
「ねぇ、エトゥーリオってどんな人?」
それを聞いてトゥーシャは不思議そうにトムを振り返る。
「へ? おまえ、エトゥーリオを知ってんじゃないの?」
「別に知ってるわけじゃないよ。あのお姫様の頭の中に浮かんで見えただけだもん。そう言いたがってたの」
トムがそう言うとトゥーシャは驚いたように問いかけた。
「えぇ? 超能力ってその程度? 他には?」
トムは腕を組んで少し空を見上げながら考える。
「んーと、箱の中身を当てたりとか、スプーンを曲げたりとか」
トゥーシャは思い切り落胆して肩を落とした。
「戦力としては地味だなぁ?。人工衛星を地球に落とすくらいの事できるかと思った」
トムは呆れたように白い目でトゥーシャを見る。
「やった事ないけど、多分できないよ。ってか、そんな事やる意味がわかんないし。勝手に期待して勝手に落ち込まないでよ」
「ま、いいか。元々、ぼくひとりで来るはずだったんだし」
トゥーシャは嘆息すると、エトゥーリオについて説明した。
トゥーシャとエトゥーリオは元々ルーイドの弟子で、同じ光の魔法使いとして修行を行っていた。
エトゥーリオは魔法に関して天才肌で瞬く間にルーイドの知識を吸収し、史上最年少で王室専属魔法使いに名を連ねる事が決まった矢先に、闇の導師の勧誘にあっさり乗って闇に転向。しばらくしてトゥーシャが再会した時には闇の一族の最高位者になっていた。
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