13  大丈夫なのか、もぉ……  (続き)

2/8
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
あれは、俺が大学一年の春。 なんとなく親しい友達もできないまま 大学生活も、ひと月を過ぎようという頃。 学校からの帰りの電車で、 偶然、高校の同級生と出会ったのがきっかけだった。 名前は、神田(カンダ) 由奈(ユナ)。 高校時代、彼女が、それなりにモテていたのも知っているし、 彼氏がいたことも知っていた。 もちろん、同じクラスだから、 彼女が東京の女子大に進学することも分かっていた。 だが、特に親しかったわけでもなく、会話もさほどした記憶はない。 しかし、なんとなくぼんやりとした孤独感を募らせていた頃でもあるし、 もちろん懐かしくもあり、 俺に気付いた彼女に、俺は自然と話しかけていた。 そして、流れで一緒に食べたその日の夕食の会話で 割と近くに住んでいることが分かり、 それから時々電車でも会うようになって、ひと月もする頃。 彼女のほうから、付き合わないかと誘われた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!