33人が本棚に入れています
本棚に追加
そして唇が離れた俺に、彼女の囁き声が言う。
「ねぇ、ウチ来る?」
だが俺は、頷くことも、首を振ることもできなかった。
文字通り、金縛りにあったように動けなかった。
そんな情けない俺の姿に、目の前の彼女が淡く苦笑したのを憶えている。
そして彼女は、苦笑したまま小さく言った。
「今日じゃないほうが、いいみたいだね」
それから、「気を付けて帰ってね」そんな事を言って
俺をその場に残して去っていった。
しかし、高々短いキスだけであんなにも動揺した俺が、
その先まで一気に進めるわけもなかった。
そうやってズルズルと単にデートだけを重ねること、更に数回。
俺は、とうとうあの衝撃のシーンを目にしてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!