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その日は梅雨の晴れ間で、昼過ぎまでジリジリと太陽に照らされた辺りは
ひどく蒸し暑かった。
ところが、そんな天気が一変したのが午後のこと。
その日の講義を全て終え、そろそろ帰るかと校舎を出ると
辺りは夕方のように薄暗く、知らない間に、空は真っ黒な雲に覆われていた。
たしかにその日の朝、天気予報で天候が不安定になり易い旨、
予報士が言っていた。
だから、もちろん俺も傘は持っていた。
しかし、そこで俺は、傘を午前の講義のあった部屋に忘れたことに気付く。
空は、今にも泣きだしそうだ。
面倒ではあっても、さすがに傘を取りに行かない訳にはいかない。
そして案の定、件の部屋へと向かいだして間もなく
やはり外では、あっという間に大粒の雨が降り始めた。
俺は、急ぎ足で廊下を駆けて行き、何も考えずに扉を開きかけた。
ところが、扉を開けかけた俺は、急いでその手をピタリと止めた。
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