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現に俺は、あの日以来、
二年以上もの間、完全なる人間不信と女性不振に陥った。
しかもそのせいで、いわゆる男性機能も、性欲までも失い、
なぜか水回りを女性と共有できなくまでなった。
そして、全ての気力すら失ったために、
俺の大学最初の学期の成績は惨憺たるもの。
だが幸いにも、高校時代よりも長い夏休みの間に、
俺の気持ちも少しだけ落ち着きを取り戻せた。
それに、流れる時と若い肉体に助けられ、
それから二年半もする内に失くした気力も性欲も徐々に回復し、
そして人間や女性にたいする不信感も、少しずつ薄れていった。
だが一つだけ、未だに回復でき切れない事が残っている。
確かに女性不振が薄れた頃から、正直、イイなと思える女性とも
数人知り合った。
だが、心が好意を抱いても、
その彼女を思うと、どうしても体が反応しない。
そう。
あれ以来、俺は、好きな女性に対してだけ
「男」になれなくなってしまったのだ。
だが、さすがにこんな事を相談できる相手もなく、
直に俺は、28年めの人生に突入しようとしている。
そして新たな恋に、そんな悩みを抱え始めた時、
父から約束の連絡が届いたのだった。
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