サイテーな男

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静まり返った室内に 携帯のコール音は 耳に当てずとも聞こえてきた。 俺はその音がたった一回鳴ると そこで電話を切った。 電話を切ると コール音の代わりに聞こえるのは 俺の鼓動。 その振動が細い神経を伝って 携帯を握る手が小さく震えた。 しばらく経って 携帯をテーブルに滑らせると同時に ジージーと携帯が小さく動き出した。 涙が出そうになっていた。 慌てて携帯を耳に運ぶ。 『…越石…くん…?』 彼女のくぐもった声が俺の鼓膜を優しく包む。 あの…笑顔みたいに。 「…会いたい…高遠さん…」 「会いたいよ…」
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