辺境の花と濃紺の兵服

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唐突に少女は道端にしゃがみ込み、田の傍に生えた草をかき分け始めた。 「珍しいです!こんなところに生えてるなんて!!」 「??」 「ハダケシメジっていうんですよ、これ」 少女は綺麗な手が泥に汚れるのも臆せずなんと目の前できのこ狩りを始めた。 「いっぱい生えてます!…なるほど、ここに流木があるからこれから生えてきたのかな…あ、お一ついかがでしょう??夕飯にどうですか??」 「ふ…」 「どうしました??」 「あっはははははははは」 「??」 唐突に抑え難い笑いがこみ上げたー。何だこの子はー!! 「あっはは、あの、何年生の方です??」 「一年生です」 きょとんとした表情で少女は答える。 「なんだ、タメか。あっはははは、きのこ、好きなの??」 もう笑いが止まらない。 「きのこというよりは…、植物が好きです。花とか…」 「あはは、ご、めん、笑ってしまって…ふははは、」 「ふふ、」 怒らせるかと思いきや、少女もつられて笑っていた。 「わたし、園芸部に入ろうかと思ってたんですが…去年で廃部になってしまったらしくて…」 「そうか…。じゃあさ、作ればいいんじゃないかな?」 気づけば自然に会話をしながら帰路を共にしていた。こんなに緊張せずに他人と話せたの、いつぶりだろうーー。この子のためならなんでもできるーー。雪霧はそんな気さえしてきた。口下手ながら担任教師に掛け合い、園芸部を立ち上げ、なんとか部員も最低限集めー。よくもまあ自分のような引っ込み思案がここまで行動的になれたものだ…。
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