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「ええ!?」
一同は耳を疑ったように声を上げた。
「えっ、聞いてない!何それ!外国じゃん!!」
小梅はもはや雪霧に対する敬語を捨てたらしい。
「あはは、びっくりさせてごめん…。」
「なんで?!なんでそんな遠いところに…」
「留学だよ。実はもう手続きも始めててね。」
「そうだったんだ…。織田くん…。淋しくなっちゃうね…。」
残念そうな顔のあさ姫を見て、やはり雪霧の心は痛んだ。僕はそれ以上に君と離れたくないーー。内心そう思うものの、決心は揺るがない。
「若いうちに、他国の文化に触れてみたいって思ったんだ。僕、英語だけは得意だしさ…。」
嘘では無いが、主な理由はそれだけではない。あさ姫と出会ってから今日まで、本当に楽しかったー。行動力も、活気も、自分には縁の無いと思っていたパワーが本当はずっと自分の中にあったことに気付けて、ほんとうに良かったー。動機は不純だったけど、自分で作った部活で、仲間に出会えて、あさ姫と一緒にいることができて、始めて人間関係が楽しいと思えた。知らなかった明るい世界を見ることができた。だから…また新しい世界をもっと見たいって、僕は思えたんだーー。
「そうだったんだ…。びっくりしたけど…すごいね!」
あさ姫が口を開く。
「やっぱり…、すごいね!織田くんは…。この部だって織田くんが作ってくれたし…。わたし、応援するね!」
「あ、…あり、がとう」
不意に赤面しそうになる雪霧。
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