2人が本棚に入れています
本棚に追加
「こ、琴之羽さんも…受験、頑張ってね。」
「うん!」
無垢な声で頷くあさ姫ー。
「さあさ!では今日は織田君の送別会パーティーといきましょうか!」
まこがぱん、と手を叩き、小梅がどこから引っ張り出してきたのだろう、大量の駄菓子を四人の中央にばらまき始める。
「好きなの食べてくださいね!今日はわたしの奢りです!」
「送別って…まあ有難いけど行くのはまだ来年なんですけど。」
「いーの!つべこべ言わずさっさと食う!」
「なんだよもー。」
ははは、と笑いながら包みにキャラクターのプリントされた棒状の菓子に手を伸ばす。
風が気持ちいい…。木の葉の隙間から覗く青空が透けるような美しさだった。部員たちの笑い声が響く…。平穏とはこういうことだろうかー…。
…「平穏な日常とは突如として崩れ去るものである」……なんてな…。
……一瞬のことだった。
雪霧は何が起こったのか理解出来なかった。
爆音、
爆風、
部員たちは残らず十数メートルは吹き飛ばされた。
左腕を強(したた)かグラウンドの地面に打ち付け、雪霧は呻き声を上げた。
爆風は止み何かが焼ける臭いと共に、パチパチという音が頭上から聞こえる。
腕の痛みのあまり地面から起き上がれない雪霧がなんとか顔を上部に向けると、校舎の最上階である4階の一部が大きく破壊され、黒い煙を上げながらメラメラと燃えていた。
「爆発ーー??!」
でも一体何がーー。
「みんな!大丈夫!?」
委員長の声で雪霧ははっと我に返った。
「ここは危ない!早く離れましょう!!」
委員長はさして怪我を負っていないようで、近くにいた小梅を助け起こしにかかる。それでもよく見ると膝や肘から尋常でない量の血を流していた。
最初のコメントを投稿しよう!