4.たなばたさんのバウムクーヘン

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「さぁ、これをご覧になって」  そう言って、テーブルの上に一枚の小さな写真が差し出される。端々が破れていたり、折り目がついたりしていて、その色褪せたセピア色から見ても、かなり古い物のようだ。 「拝見します」  手には触れずに覗き込むと、そこに写っていたのは、開襟のワンピースを着たきれいな女性と、軍帽、軍服姿の男性がニッコリ笑って、仲睦まじく寄り添う姿だった。  しかも、その男性が孝輔かと見紛うほどにソックリ。ただし瞳の色は明るくなく、身体つきも一回りくらい小さくした感じだ。  驚きのあまり絶句していると、陽ちゃんも写真を覗き込み、信じられないという表情で背後の孝輔を振り返った。 「お、俺じゃないよ!? 俺は戦後生まれだよ!?」  孝輔は既に確認済みなのだろう。古い写真に自分が写っている摩訶不思議さに、少しばかり恐怖を感じているようだ。 「確かに孝輔とソックリですね。この女性はあなたですか?」  陽ちゃんがそう問うと、洗い物を終えた百瀬さんも興味津々で写真を覗き込んできた。
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