第1章

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それが始まったのは、俺が厨房で皿洗いをやらされていて、汚れた皿の山にげんなりしながら、カウンター越しに食堂の方を見ている時だった。 青白い顔の看守がフラフラと食堂に入ってきて、すれ違うように食堂から出て行こうとしたヒスパニックのギャングの首に噛みつき、その肉を引きちぎって咀嚼し飲み込むところを目撃する。 首の肉を引きちぎられたギャングの手下達が、男の噴き出す血を手で押さえたり、看守に飛びかかり隠し持っていたナイフで、看守の腹を刺したりした。 ギャングは出血多量で直ぐに死亡。 看守は腹を刺されたのに痛がりもせず、刺した男に掴みかかり男の肩の肉を食い千切った。 看守だけでなく、死んだ筈のギャングも上半身を起こし、彼に声をかける手下の首に噛みつき、肉を引きちぎる。 食堂内にいた看守達がそいつらの所に走るが、彼らもまたギャング達に掴みかかられ、肉を噛み千切られた。 食堂内はパニックになり、食事中だった囚人達が先を争うように食堂から走り出て行く。 俺も逃げようと手に持っていた皿とスポンジを流しに放り出したとき、俺の斜め後ろで夕食の準備を始めていた通いの料理長が、胸を押さえて倒れた。 料理長の指示の下、夕食の準備を始めていた囚人達が、料理長を助け起こそうとする。 その助け起こした囚人の1人に、料理長が掴みかかり上腕部に噛みつく。
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