第1章

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それから三日三晩、ゾンビとゾンビに噛まれた傷がある奴の頭を、撃ち抜いていて回る。 俺以外にも、刑務所の中でゾンビの駆除を行っている奴らが何人かいたが、俺はそいつらと一緒にゾンビ狩りを行わず、1人でゾンビ狩りを行った。 刑務所にはあの日、囚人に看守や職員を含めて300人以上の人間がいた筈だが、囚人の大部分はどさくさに紛れて脱獄したようである。 刑務所内をうろつきゾンビに出会わなくなると、疲れた身体を引きずるように所長室に向かう。 所長室で見つけたコーヒー豆で淹れたコーヒーを飲み、所長室の隣にある監視室のモニターを眺め、刑務所内をさ迷うゾンビの姿を探す。 その俺の耳に、所長室に向かってくる足音が入る。 コーヒーカップをテーブルの上に置き、拳銃の残弾を確認。 ドアを開け中に入ってきた奴に拳銃を突きつける。 入ってきた奴も俺に気が付き、手に持っていた拳銃を俺に突きつけた。 俺が声をかける前に、そいつが先に質問してくる。 「ゾンビじゃ無いよな? 噛まれてもいないよな?」 俺は拳銃をベルトに戻し返事を返す。 「ああ、噛まれていないしゾンビでも無い。 まあ立ち話しも何だ。 入って座れよ」 返事を返しながらモニター前の椅子を指し示した。 だが奴は椅子に腰掛けようとせず、話しを続ける。 「ここから逃げようぜ。 俺1人だと逃げきれるか分からないが、あんたと2人なら確実に逃げられる筈だ」
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