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通信で送ったりLINEQRとかを使うと、僕の個人情報まで一緒に送られてしまう。そうなれば最後だ。
チマチマと女の子のメールアドレスを入力し、そこにメールを送った。
「来ました! ありがとうございます!」
女の子は満面の笑みをみせ、去って行った。
女の子がいなくなったのを確認して、僕はフェンスに持たれて一息つく。
「危なかったですね。有紀さん」
小さな女の子が現れて、僕に話しかける。
容姿はどう見ても高校生には見えない。いいとこ中学生って感じなんだけど、その子はうちの高校の制服を着ていた。
本人曰く、妖精らしい。
僕だって、最初は信じられなかったよ。でもあれだけの証拠を見せられて、信じないわけには行かない。
「疲れたよ……。隠れて見てないで助けてよ」
僕は頭についているリボンをむしりとった。
僕は体が元に戻っていることを確認して、リボンを鞄にしまう。
葵ちゃんはあっけからんとした表情で。
「だって、あの人は有紀さんに告白しに来たんですよ? わたしの入る場面ではないです」
「有紀さんにって、あの子は本当の僕が好きってわけじゃないんだから」
あの子が好きなのは、葵ちゃんの力で女の子になった僕だ。本当の僕を見ているわけじゃない。
「いいんじゃないですか? 有紀さん、百合系のエロゲパソコンに入れてるじゃないですか。有紀さん的に女の子同士はありなんですよね?」
ど、どうしてそれを! さては僕のパソコンを勝手に開いたな!
「それに、僕が百合世界に入るのとは別なの!」
まあそれも悪くはないけどね。僕が百合するんだったら受けがいいな。とにかく一方的に犯されて無茶苦茶にされたい。
けど、今はそんなことをしている場合じゃない。僕の目的が果たせなくなってしまう。
僕の目的。
それは涼香の姿であの男、一ノ瀬宙人を落とすこと。
外道と言われてもいい。好きなようにののしるがいいさ。
でも僕は誰になんと言われようとやり遂げて見せる。
だって僕は、幼馴染である柚奈のことが好きなんだから!
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