1話(1)政略結婚 ~留奈side~

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キスの後、息をするのも忘れる位、茫然としてしまった。 私の様子を見て、濡れた唇を舌で舐め取る仕草をした。 その表情は誇らしげ。 「泣きたければ、泣いてもいいぞ」 「だ、誰が泣くもんですか」 悔しいけど、この悪魔みたいな男に涙は見せたくない。 ここで泣いたら、私の負け。 桐生社長には負けたくない!! 「気の強いお嬢様だな…もう少し可愛い方がいいけど。仕方がない」 彼は嘆息し、私の顎を指を摘まんだ。 私は彼の指を薙ぎ払う。 「私、貴方とは結婚なんてしない!!」 「…そろそろ会場に戻ろうか?」 「!?」 彼は再び、私も右手を掴んでエレベーターへと歩く。 靴擦れは痛いし、初めてのキスをこんな男に奪われ、悔しい。
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