1276人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
キスの後、息をするのも忘れる位、茫然としてしまった。
私の様子を見て、濡れた唇を舌で舐め取る仕草をした。
その表情は誇らしげ。
「泣きたければ、泣いてもいいぞ」
「だ、誰が泣くもんですか」
悔しいけど、この悪魔みたいな男に涙は見せたくない。
ここで泣いたら、私の負け。
桐生社長には負けたくない!!
「気の強いお嬢様だな…もう少し可愛い方がいいけど。仕方がない」
彼は嘆息し、私の顎を指を摘まんだ。
私は彼の指を薙ぎ払う。
「私、貴方とは結婚なんてしない!!」
「…そろそろ会場に戻ろうか?」
「!?」
彼は再び、私も右手を掴んでエレベーターへと歩く。
靴擦れは痛いし、初めてのキスをこんな男に奪われ、悔しい。
最初のコメントを投稿しよう!