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会場の前にはお父さんが心配そうに立っていた。
「留奈」
私の姿を見るなり、お父さんが慌てて駆け寄る。
「藤ヶ谷社長に何も言わずお嬢様を連れ出したコト。誠に申し訳ありませんでした」
「あ・・・いえ」
桐生社長はお父さんに深く腰を折り、頭を下げた。
「秘書の神田さんからもご説明して頂きましたし、頭を上げて下さい。桐生社長」
お父さんは困惑していた。
私の前では終始傲慢な態度だったクセに、お父さんの前では低姿勢の彼。
「振袖のシミはホテルの方も取れるとおしゃっていました。そうお気になさらず」
「本当に申し訳ありません」
「ともかく、頭を・・・」
会場の出入り口付近には私達の様子を見に沢山の人が出て来た。
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