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「まぁ、突然のコトで戸惑うキモチも分かります。貴方にとって留奈さんは大切な一人娘。でも、いい返事お待ちしてますよ。藤ヶ谷社長」
桐生社長は爽やかな笑顔で言うと先に会場へと入って行った。
でも、あの天使のような笑顔の下には悪魔が潜んでいる。
突然のコトでお父さんは戸惑っていた。
「お父さん・・・」
「…まさか…桐生社長がお前に目を付けていたとは」
「・・・」
「いい返事か…断れば…シンガポールへの出店は水の泡か・・・」
お父さんには成す術がないーーー・・・
会場に入ろうとしないお父さんを置いて、先に一人で入って行った。
先程の騒ぎを見ていた人達が私に注目する。
周囲の人達と談笑しながら、涼しげな表情でグラスの白ワインを煽る彼に近づく。
「貴方は汚いです!桐生社長」
「汚いか・・・」
「こんな公の場で…あれでは断るコトも出来ない」
「断るつもりか?ふん、俺は自分に従わない人間には容赦はしない」
「…桐生社長にこんなにも強気で来る女性は初めてだな」
「そうですね・・・」
桐生社長の隣に居た一人の男性が呟く。
そしてその隣の立つ眼鏡の男性が相槌を打った。
「15歳には見えない位、君がしっかりしている。桐生社長にはお似合いの女性だ」
「私は…こんな人と結婚したくありません。お似合いだなんて言わないで下さい」
「この後に及んで。留奈はまだ自分の立場を理解していないのか?」
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