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私は再び桐生社長を探す。
「!!?」
彼は大物政治家・伊集院衆議院議員と話をしていた。
近づきたくても近づけない雰囲気。
伊集院衆議院議員がチラリと私を見た。
「桐生社長…噂の藤ヶ谷社長のご令嬢が会いに来たぞ」
桐生社長も私に目を向ける。
「今度は伊集院様の前で俺を罵倒するつもりか?」
「いえ・・・」
私は恐る恐る彼に近づき、伊集院衆議院議員に頭を下げた。
大物政治家まで招待されているパーティとは、『桐生建設』は想像以上に大きい。
「桐生社長の様子を見ていると、藤ヶ谷社長の令嬢に本気のようだ。彼は出来る男だ。どうだ?真剣に考えてもいいと思うぞ」
伊集院衆議院議員が自ら私を説得し始める。
私達は益々窮地に追い込まれてしまったーーー・・・
私と桐生社長は黙って訊いていた。私には横柄は態度を取る彼も大物政治家の前では猫を被る。
「若い二人が結婚するんだ。少子高齢化の我が国にとっては子を増やすまたとないチャンス。二人共お似合いだから…結婚しなさい」
伊集院衆議院議員はそう締め括った。
「…伊集院様もそうおしゃってる…どうする?留奈」
彼は気安く私の名前を呼び捨てる。
誰が何と言おうと、私は絶対に嫌。嫌いな男と結婚してその上Hして…子を産むなんて…今は考えられない。
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