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「ん~~~」
大きな伸びをしながら目を覚ます。昨夜の出来事をすっかり忘れて、つけっぱなしだった電気を消し、カーテンを開けて朝の光を体いっぱいに浴びる。
彼が目覚めた気配を感じたのか、ミーコもクローゼットからのろのろと出てきてあくびをしていた。
「お、ミコおはよぉ」
彼の呼びかけににゃぁんと返事をする。
居間のカーテンも開けようと移動しながら窓辺に視線を移した
「うわ!!」
居間からベランダへ出入りするための大きな窓の前に昨夜、突然現れた女の幽霊が正座をして座っていた。
「……なんでこんなところに」
眠った後この居間に入り込んだようだ。彼は昨夜の出来事を夢か何かだと思っていた、なのに女は確かにそこにいた。
彼の後をついてきていたミーコが彼に挨拶をしたのと同じように女にもにゃぁんと話しかけていた。その様子を見て、ミーコがこの家に幽霊女が存在することを許した、そんな風に彼は感じた。
女が居ることにに驚き時間が止まった彼と空っぽのご飯の容器とを交互に見て私のご飯を出しなさいとアピールをする、彼と容器を三往復したあたりでミーコはしびれを切らして催促をする。
「にゃぁああん」
ごはぁああんと言っているのだろう、彼は女をどうにかする事よりもミーコのご飯を優先させた。
「ごめんごめん、ハイどうぞ」
ざらざらとカリカリが容器に出されるのを満足そうに見つめ、彼が立ち上がるとすぐにカリカリに口をつける。
そんなミーコの背中を二、三回撫でると彼は歯を磨きに脱衣所へむかった。
鏡越しに見える居間にはあの女がやっぱり居る。昨日のあの出来事をなんども頭のなかで思い浮かべる。
なんで居間に移動してきたんだろう、話しかけたのがいけなかったのか?存在を認識する人間がいるとうれしくなってその人間から離れなくなるとか聞いたことがあるなぁ…やっぱり話しかけたのがいけなかったのか、うかつなことをしたなぁ。
後悔してももう遅い、女は家に上がり込んでしまった。こうなれば追い出すのは大変だろう。
女のことは気になっているが、今日は仕事がある。女にばかりかまけていられない。
いそいそと家を出る準備をして、朝ご飯を食べると、ミーコに挨拶をするために何処にいるのか探す。
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