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”きゃぁああああああ”
女性の叫び声にビックっと目を覚ますと、ホラー映画が繰り返し流れているスマートフォンが目の前にあった。
「なんだ映画の音か…」
再生したまま眠ったせいで映画の見どころであろう、女性が恐怖の対象との戦いの最中の悲鳴で驚いて目を覚ましてしまったようだ。
ふぅとため息をつくと暗闇の中トイレへと向かう。
真っ暗な部屋の中、廊下に小さな影がみえた、ミーコだ。
また廊下で玄関のほうを見ている。
「まだ気になる音が聞こえるの?」
そう言いながらミーコに近寄ると帰宅したときに感じた気配と同じものを感じた。ミーコから視線を外し玄関を見ると思わず叫び声をあげてしまった。
「うわぁ!!!」
彼の視線の先には、顔が確認できないほど髪の毛を伸ばした白いワンピースを着た女性がぬぅうっと立っていた。
自分はまだ寝ぼけているのかもしれない、見間違えだ!と一瞬、瞼をぎゅっと閉じ、すぐさまバッと見開く。やっぱり玄関の扉にピッタリ背中を付けている場所に女は立っていた。混乱する頭の片隅で彼女の正体を考えた。
ストーカー?泥棒?
いや、そもそもこの部屋にどうやって入ってきたんだ?そこまで考えると最後に一つの可能性が浮かび上がる。
幽霊
そう思うとしばらく止まっていた体がゆっくりと動き始めた。
廊下の電気のスイッチを入れ部屋を明るくしてみた。けれどワンピースの女は消えずにそこにいる。
消えないって事はこの人、生きてるんだよな?どうしよう…ストーカーかな?入って来たはいいけど何していいかわからなくなったとか?
勇気をだして話しかける。
「あの……ここで何してるんですか?」
ワンピースの女は微動だにしない。自分が投げかけた問いが聞こえているのか?と思うくらい動きがない。
とりあえず警察を…そう思いスマホを取りに行こうと振り返ろうと思うも思いとどまった。電話を掛けようとする自分に気がついた彼女がもしかしたら逆上して自分に襲い掛かってくるかもしれない。
そう思うと体が動かない、しばらく思考停止して真っ白になっていたけれど、とりあえず彼女の話を聞いてみようと結論が出た。
玄関に居るってことは、そこから入ってきたんだよな?玄関のカギをチラリと確認するけれど、カギはしっかりとかかっている。その時ふと思い出した、愛猫のミーコが玄関のあたりをじっと見つめていたことを、もしかしたらあの時この女がピッキングをしている音でもしていたんだろうか?そう思うとぞくっと背筋が凍った。
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