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「とりあえず寝よ、俺に何かするつもりならもうなんかしてるよな?」
玄関に棒立ちの女に聞こえるように少し大きめの声をだし、ちらりと玄関を覗き見るも、女に動きはない。
「よし…寝よう」
そう言いながらいつもの癖で電気を切ろうとした手を止める。
さすがにあの女がいる家を真っ暗にして寝る度胸は彼にはない。
廊下の電気も、居間の電気も、寝室の電気もつけっぱなしでベットに潜り込む。
瞳を閉じて寝る努力をするけれど、いつもは真っ暗闇の部屋にこうこうと明かりがともり、玄関には得体のしれない何かがいる。
簡単に眠れるはずもなかった。何度も寝返りをうち、そわそわと落ち着かず、それでも眠ろうと頑張り続ける。
そんなことを二時間ほど繰り返した頃、彼はやっと眠りについた。
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