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「……お月さま……?」
「そう、月の土地を買ったんだ。で、これが契約書。面白いだろ! 俺とハチとチャーコ名義で、同じ住所1エーカーずつ、全部で3エーカー! ひっろい!」
「え……。じゃあまさか引っ越すって……」
アタチの小さな脳ミソが軽くパ二くっている。
「月へ。内緒にして驚かせようと思ってたのになー。まあ、引っ越しの準備だけはしとこうぜ!」
「そんなすぐ月になんて住めるようになるかプギーー!」
「バッ! おめ、人類の進歩をなめんなよ!? もしかしたら公表されてないだけで、明日にでも《なんと! 今日から月に人類が移住可能とNASAから発表がありました!》って記事が一面に載るかもしんないだろーが!」
「載らないプギーー!」
「まあいいじゃない、そういう夢はあった方が」
ハチが、綺麗に拭いてくれたアタチの身体を廊下に下ろした。
「そうだぞ。なんたって全部で3エーカーだ。でっかい家に、チャーコが走り回れるくらいの畜舎部屋も設計してやるからな」
「え……お部屋で走れるの?」
「いいでしょう? ホントはトリュフ探しが一番運動になるんだけど、あんた嫌いでサボってばっかだから。運動不足で病気にならないかって心配だったんだけど、部屋が広ければ家で元気に遊べるから安心じゃない」
アタチはニコニコ顔のカイとハチを高速で見比べた。
でもでも、まだ納得いかない。
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