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(ひどいプキ……。アタチどうしたら……)
プゥと水色のため息を漏らした時、目の前をシッポがハテナの形をした黒猫が歩いて行く。
「あ、ヌコリン」
「お? チャーコ。こんなトコでどした、雨宿りニャ?」
彼は仲良しのお友達、黒猫のヌコリン。
アタチとは違って人間に飼われていない、孤高の野良猫だ。
「まあ……そんなとこ。ヌコリンはまた国会図書館にでも行ってきた?」
「うむ。コデックス・セラフィニアヌスを読みに行ってきたんだ」
アタチの目が、土偶のように一本線になる。
「……次は難しい論文でも書くの?」
「いんニャ、今度はギャグホラーを」
「がんばってね……」
「んん? コデックス・セラフィニアヌスについての説明はいいのニャ?」
ズズイッと詰め寄って来る、黒い顔とつぶらな瞳。
「うん、今度自分でググる。ねえ、それよりラーメン食べに行かない? 二代目チャーシュー力の割引券、あるんだー」
「行かにゃい。今日の夕飯は豆腐かけごはんの予定だから」
「ヌコリンの大好物だね……それじゃダメか。いいなあ……」
「チャーコんちだって、いつも豪華じゃニャいか。かいぬしさん、料理上手だし」
「…………今日はいいの!」
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