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おはよう、こんにちは、おやすみなさい、ごめんなさい、さようなら、そして……ありがとう。
これだけは伝えなきゃいけない。
迷惑ばかりかけてごめんね。
さよならカイ、ハチ、今までありがとう……。
アタチはかくれんぼの丘を駆け下りて、わき目もふらずお家に向かった。
決心が揺らいでしまわないうちに――。
――我が家の玄関ドアには、ペット専用の出入り口がある。アタチはそこに、障害物競走の勢いでバコッと頭から突っ込んだ。
「ただまっ! あの、その、アタチ……!」
「ストーーップ!! そんな泥だらけで上がってくんなっ! てか、こんな遅くまで遊んでたらダメじゃん! 坂間さんちだって迷惑でしょ?」
シュタッと玄関前までやってきてアタチを制止したのはハチ。その手にはすでに足洗い用のバケツと雑巾が君臨している。
「プキ? 坂間さんちって……三丁目の? なんの事……」
「チャーコがメールしてきたじゃん。坂間さんちのチャボくんと遊んで来たんじゃないの? ほら」
ハチはエプロンのポッケからケータイを取り出して、アタチの目の前に突き付けた。そこには……
《さかまさないてまれ》
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