第1章

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 私は彼の言葉に反応した。そしてうつむいていた視線を彼のほうに向けた。彼はただ真正面を見据えていた。私は次に傘のほうに視線を向けると、やはり少しだけ私のほうに傾いている。それから私は彼と同じように真正面を見据えた。そして彼のつぶやきに対して私は自分の意見を言ってみた。  「そう?私はわりと雨好きだけどなぁ」    ほらね、やっぱり意見が合わない。私たちは性質の違う二人なのだ。    でも、このときばかりは願わずにいられなかった。  私たちの前世は、彼が磁石のSで、私が磁石のNでありますように、と。
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