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ひろきは結露で曇った眼鏡を服の裾で拭きながら、苛立ちを隠さずに言った。
「あともう少しで食べる所なのに、何なんだよ一体・・・。」
ひろきはダイニングの窓を全開にして、蒸気のもやが晴れるのを待った。
次第にもやが晴れてくると、やかんのそばに黒光りする立派な甲冑を身に纏った大男が立っていた。
何故だか顔には歌舞伎役者のように紅と黒で隈取されたメイクをし、ひろきをじっと睨み付けている。
「おい、そこの坊主。お前の願いを三つ叶えてやろう。」
大男は野太い声で言った。
最初、ひろきは目が点になっていたが、大男の上から目線の物言いにカチンと来た。
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