1

7/9
前へ
/563ページ
次へ
 先日の戦闘で、ヴァリアントの攻撃で腕を引きちぎられたのが嘘のようである。  桜子の身体はそうした機械などの人工的なものに差し替えられている。衣服を脱げば彼女の皮膚の一部にチューブが浮き上がっているのが見え、機械が埋め込まれているのが解るが、外見は普通の身体を持った女の子にしか見えない。 「ほんとすげえよな俺たち生体兵器の身体ってさ」 「身体がきびきび動くようになったり、力が強くなったりするから?」 「それよりも怪我しても時間が経てば再生するじゃん? 俺もお前も、腕や脚が千切れても簡単な手当てを済ませばあとは勝手に元通りになってるしさ。ほんとナノマシンってすげえよな」  コーラを飲みながら大森が言う。  大森や桜子のような生体兵器の体内で生成されるナノマシンはどこまで万能なのかは知らないが、欠損した身体や細胞を元通りにすることが出来る。どうやってそんな技術が生まれたかは疑問であるが…。 「身体も強くて、怪我をしても再生できるなんて、まるでヴァリアントみたいに改造されているんだね。わたしたちって」  桜子がぼそっと呟いたその言葉に、大森の目がいくらか鋭くなった。  しばらく間を置いてから「そうだな」と短く返ってきた。
/563ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加