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ヘヴナーの文化および技術について興味がある総統ヴァリアントは多い。
自分たちの文化圏とは異なるコンセプトや人体工学でデザインや設計されたものは生活の中の手助けになるものや現実に戦闘行為を行うための設備など、どれもが強く興味を惹き付けられる。
それは現在、自衛軍陸上課横山駐屯地の制圧を目論み放送室を占拠している三体の総統ヴァリアントも御多分に漏れずそうだった。
今しがた切断したプロペラを持って飛行する炭素繊維の強化プラスチックのかたまりをひとつ手に持ってつぶさに観察する花王総統。
同名の企業のロゴマークからそう名付けられた彼はいち早くドローン越しの人間たちの視線に気付いた者だった。
後頭部に違和感を覚えて振り返った時に入り口の小窓の黒い物体を確認して攻撃を行った。腕の突起を刃に変化させ、真空刃を放って一撃でドアごと破壊したのちに花王総統はそれが銃のたぐいではない別の何かであることに気付き興味を持ったのだ。
「プロペラ部分はプラスティック…。それぞれ均等の長さと重さのプロペラを生やした四本の腕を持っており、それにより姿勢を水平に保ったまま飛行することが可能と予想される。しかし牙も触角もない。きわめて無機質な外観。血液などのようなものもオーガニック的ななにかも存在しないためにこれは生き物ではない。だが昆虫にしては大きい。これはなんだ?」
自らの仕事ぶりを眺めるだけではなくこの飛行物体がいったい何の目的で自分たちに接近していたのかその理由を考えていた。
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