唐突で不思議な出会い

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五月雨のように降る、春の満開の桜吹雪。 ここ、御手洗高校の校門前の桜も、ここぞとばかりに咲き乱れ、春風に乗って舞い落ちる。 その桜吹雪の中、一人の少女が立ちすくんでいた。 銀髪のショートヘアに小さな小顔が包まれ、眠たげな眼差しが、登校中だった僕を捉える。 一目見たら忘れないだろうほどの美少女だろう彼女は、立ちすくむ僕にそっと近寄る。 薄い化粧すらしていない、自然体な真顔で僕を見つめると、彼女は口を開いてこう言った。 「……キャン、ユー、スピーク、ジャパニーズ?」 カタコトで、どこかイントネーションのおかしいこの英語が、今の僕らを形作る一歩だったなんて、この時はまだ知らない。
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