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動物嫌い
動物が嫌いだ…いや、四足歩行の哺乳類が苦手というべきだろうか。
理由はある。四足歩行の哺乳類は、全部、顔が人間に見えるからだ。
正確には、生まれ変わりの中で、そいつが最後に人間だった時の顔が見える。
ずいぶん昔に亡くなったばあちゃんが、これとまったく同じ能力を持っていて、子供の頃に説明してもらったから、そういうものだと納得はできるようになった。
でも、俺には動物がそう見えると納得しただけで、気味が悪いことに変わりはない。
だから極力動物には関わらないようにしている。
それでも世界には動物が溢れていて、嫌でも目についてしまうのだ。
あっちの犬の顔はオッサン。姿は仔犬だから、女の子がキャーキャーと寄って来る。その頬を、ニヤニヤしながら舐めてやがる。
向うの猫は女の人。こっちは若いおニーさんにはゴロゴロ懐くけど、女の子は総て無視。
こういうのが見えるから動物は苦手なんだ。
だけど不幸中の幸いで、俺が『そう』見えていることを動物達は知らない。…知られる訳にはいかない。
だってあいつらは、人間の記憶や意識は持ってないけれど、人だった頃の欲や悪意は今も持ってるんだ。
だから人間を選り好みするし、悪い感情に従って害を為す。
ほら、たとえば。
おじいさんが犬の散歩をしている。もちろんその顔は人間の顔をしていて、いかにも従順そうに隣を歩いていたけれど、突然、赤信号に向かって突っ込んだ。
体は犬の反射神経だから、突っ込んだ方はたやすく歩道へと舞い戻る。でも引っ張られたおじいさんは車道へ飛び出してしまった。
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