動物嫌い

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 幸いにも、寸前で車が停まって事なきを得たけれど、もう少し停車が遅かったら、あのおじいさんは引かれていただろう。  歩道の犬は、人間の嫌な部分を剥き出しにしたような顔で笑っている。  多分あいつは、この先も似たようなこと繰り返すのだろう。でも俺似はどうすることもできない。  忠告をしたところで、誰が、動物の顔だけが人間に見えるなんて話を信じる? 頭のおかしい奴だと思われるのがオチだ。でも動物達はそれをきちんと聞いていて、何かを口走る恐れのある俺という人間を、全力で排除に来るだろう。  …ばあちゃんもそれが原因で死んだ。  だから俺は何も言わない。おかしなものなんて見えていないフリを通し続ける。  あっちの犬が胡散臭そうな目を向けても、あっちの猫が探るように寄って来ても、俺にもお前らは普通の犬猫に見えてる。そのフリをする。  これまでずっとそうしてきた。そしてこれからも、ずっとずっとそうし続けるつもりだ。 動物嫌い…完
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