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気がつくと、わたしは草原の中に座っていた。
見渡す限りの草の海原を目の前に、わたしはどうしてここにいるのか、必死で思い出そうとした。
「なんで…なんでこんなところにいるんだっけ…」
その言葉も虚しく、風で擦れる草の音にかき消されてしまう。
今のこの状況を理解しようと必死で考えるのだけど、思考は全然働かず、まるで夢の中に居るような…
そんな感じだった。
しかし、その夢うつつも次の瞬間に覚めることになる。
ドーン!!!
と言う雷が落ちたような耳をつんざく様な物凄い音に、わたしは一気に覚醒した。
"なっ!今の音はなにっ!?"
音のした方向に、慌てて目をやると、
うっすらと白い煙が上がっていた。
その視線の先から"ガサガサ"と草むらを掻き分ける様な音を起てながら、物凄い速さでこちらに何かが向かってきた。
その向かってくる物は、身の丈が高い草に隠れて
見えないのだけど、どんどんこちらに近づいてくる事だけはわかった。
どんどん近づくそれは、やがて私の目の前に姿を現し、そしてゆっくり動きを止めた。
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