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女性は額をかるくかきながら
「いえ、油断して取り逃がしたあたしの責任よ。あなたに怪我がなくて本当に良かった」
と言い終わるか終わらないうちに突然
「まだいたのね…」
と呟き、草むらの中へ持っていた杖を向け叫んだ。
「サンダー!」
同時に杖の先から青白い光が、まるで雷の様な様相で草むらに向かっていく。
さっきと同じ、まるで雷が近くで落ちた様な音が辺りに響いたあとに、草むらの中から煙がたちあがり、やがてヨロヨロと姿を表したのは緑色の化物。
その化物を、女性は無造作に蹴り倒し
「いっちょう上がりってね」
と満面の笑みでこちらをみた。
でも、わたしには笑い返す余裕などなかった。
"なに?いまのなに?光?雷?どうして?"
しばらく呆然としてから、ようやく出てきた言葉は
「光…いまの光はなんですか…?」
その言葉を聞いた女性は、若干首を横に傾けながら
「え?魔法よ?わたしアークメイジだもの」
と、そう言った。
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