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街は高い壁に囲まれていた。
街の入り口には大きな門があり、その門には警備の人がたっていた。
彼女はその警備の人に軽く手をあげ門の中に入っていった。
わたしもあとに続いて入ろうとしたが、その警備の人に止められてしまった。
「君、見ない顔だけど許可証はあるかな?」
そんなものあるわけがない。
「じゃあ誰か街に知り合いとか仲間とか、身元がわかる人はいるかな?」
顔は笑っているけど、どことなく威圧的だった。
知り合いなんて先に入ったあの女性しかいない。
それも、ほんの1時間ほど前に出会ったばかりの人だ。
知り合いと呼んでいいものかとも迷うほどだ。
「で、誰かいるかな?」
でも今のわたしには彼女しかいない。
既に門をくぐり、街の中に入った彼女を指差した。
「えっと…あの…あそこの魔法使いの…えっと…」
「どの人かな?名前は?」
名前を呼ぼうとしたが…でてこない…
「えっと…えっと…あっ!」
そういえば…まだ名前も聞いていないことに気がついて愕然とした。
このままだと街にも入れず、危ない場所で野宿だ!
化物に食われる嫌な想像をしてると
「おーい!この子、まるひよこの客だろー?戻ってこいよ、まるひよこ!!」
と後ろから声が聞こえた。
振り向いてみると、そこにはアニメやテレビでよくみるような鎧を来て、剣を携えた男の人が立っていた。
その、まるひよこってのは、彼女の名前なのは
すぐにわかった。
なぜなら彼女は門まで全力で走って戻ってきて
いきなりその鎧の男に顔面にパンチをしたのだ。
「こらフォンティナ!早く金返せやあああああ!!!」
「グハァ!!」
鎧の男は約2mは後ろに飛んだだろうか…
片膝を地面につき、顔を押さえて、その指の間からは鼻血がポタポタ垂れていた。
そして鎧の男は言った。
「もう先週返したけど…」
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